谷崎潤一郎 『痴人の愛』 「まアちゃん、あんた猿は嫌い？」…

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青空文庫図書カード: 谷崎潤一郎 『痴人の愛』

現代語化

「お母さん、猿って嫌い？」
「猿？…」
「何でよ、変なこと聞くじゃない」
「私の家に猿が2匹飼ってあるのよ。だからお母さんが好きだったら、1匹あげようかなって。どう？お母さんは猿好きじゃないの？」
「あら、猿をお飼いになってるの？」
「ええ、飼ってますの。綺羅子さんは猿がお好き？」
「私は動物なら何でも好きよ。犬でも猫でも…」
「じゃあ猿でも？」
「ええ、猿でも」

原文 (会話文抽出)

「まアちゃん、あんた猿は嫌い？」
「猿？―――」
「何でえ、妙なことを聞くじゃねえか」
「あたしの家に猿が二匹飼ってあるのよ、だからまアちゃんが好きだったら、一匹分けて上げようと思うの。どう？　まアちゃんは猿が好きじゃない？」
「あら、猿を飼っていらっしゃいますの？」
「ええ、飼っておりますの、菊子さんは猿がお好き？」
「わたくし、動物は何でも好きでございますわ、犬でも猫でも―――」
「そうして猿でも？」
「ええ、猿でも」

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