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青空文庫図書カード: 国木田独歩 『運命論者』
「もちろん聞きますよ! どうぞ話して下さい。」
「じゃあまず手近なお酒のことから話します。あんたには不思議なことだと思うでしょうけど、実は世間でよくやってることで、苦しみを忘れたいからやってるんです。砂に隠してるのは、家ではこっそり飲まなきゃいけないからで、それにここって静かで気持ちがいいし、どんなひどい運命の奴でも隠れて人をうかがうような暗い影がないのが気に入ってるんです。ここに寝っ転がって、お酒の力でまったりしながら高い空を見上げてると、ちょっとだけ心が自由になれるんです。そのうちこの強すぎるお酒が、もともと弱ってる俺の心臓をだんだんダメにして、そのうち俺もちゃんと自滅するだろうと思ってます。」
「じゃああんたは自殺したいんですか。」
「自殺じゃなくて、自滅です。運命は俺の自殺すら許さないんだ。あんた、『惑』ってのが運命の鬼が一番巧く使う道具の一つなんだよ。『惑』ってのは、悲しみを苦しみに変えるんだ。苦しみをさらに倍にする。自殺ってのは決心なんだよ。ずっと『惑』のせいで苦しんでる連中に、どうやってそんな決心がつくんだよ。だから『惑』って鈍くて重い苦しみから逃れるには、やっぱ自滅っていう遅い方法しかないんだ。」
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