三遊亭圓朝 『敵討札所の霊験』 「有難う/\」…
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青空文庫図書カード: 三遊亭圓朝 『敵討札所の霊験』
現代語化
「ありがとう」
「ちゃんと気を付けてよ」
「はい」
「大丈夫ですよ。私は怪しい者じゃないんです。さっき、あなたと一緒に、洗馬を流れてきた巡礼ですよ」
「はい、ありがとう。怖かったですね」
「それで、あなたはなんで落ちたんです?」
「なんであんなことになったんですかね。きっと人違いなんでしょうけど、私が山道を歩いてたら、大きな侍が追いかけてきて、『お前は白島の山之助だよね。久しぶりだな。お前の姉のおかげで、俺はこんな浪人になっちゃったんだ。だからお前の金を取って、仕返しするぞ』って言ってきたんです。私はそんな人じゃないって言うんですけど、いきなり脇差を抜いたので、一生懸命逃げようとして足を踏み外して、ここに落ちたんです」
「それはお気の毒さま。きっと私と間違えられたんですね。白島の山之助って言ってましたっけ?」
「はい」
「その男ってどんな人だったんですか?」
「柳田典蔵って言ってました」
「それは大変、お気の毒さま。あなたを私と間違えたんですね」
「そうなんですか? 私はそんな人じゃないって言いわけしても、聞いてくれなかったんです」
「それは完全に私の間違いです。お…あなたって、女性ですよね?」
「いえ」
「でも、さっき私が抱き起こしたとき、おっぱいが大きかったので、話し方も女性だと思ったんです」
「そうなんですか? 私は本当は女性です」
「やっぱりそうでしょう。それで、私はあなたと間違えられたんです。私が山道に入ると、胡麻の灰さんが来て、『お前は女性だろ』って言ったんです。私は『いや、女性じゃない』って言ったら、『そんなこと言っても、おっぱいを見たから女性に決まってる。金を持ってるから出せ』と言って、私の頬をぺろぺろ舐めたりして。それで、奴の顔を叩いたら、脇差を抜いたので、私は一生懸命『泥棒だ!泥棒だ!』って叫びながら逃げたんです。そしたら足を踏み外して、ここに落ちたんです」
「あら、お気の毒さま」
「私の方こそお気の毒さまです」
「あなたはどこへ行くんですか?」
「私は西国巡礼に」
「あら、私も西国へ行くんです。よく似てますね」
「えぇ、よく似てますね」
「あなたはどこで泊まりますか?」
「山道に入ったら様子がわからないんですが、落合まで日暮れまではに行きたいと思って急いでます。あなたはどこで泊まりますか?」
「私も落合で。ほんと、よく似てますね」
「えぇ、ほんとよく似てますね」
「一緒に連れて行ってくれませんか?」
「えぇ、一緒に参りましょう」
「それじゃ、お願いします」
「一生懸命にしがみついてきてくださいよ」
「お願いします」
「何か落としてもダメですよ」
「はい。柄杓もここにあります」
原文 (会話文抽出)
「有難う/\」
「お前さん確かりなさいよ」
「はい」
「大丈夫です、私は胡散な者じゃアございませんよ、私はお前さんと後先に成って洗馬から流して来た巡礼でございますよ」
「はい有難う怖い事でございました」
「成程お前さんは何うなすったの」
「何うしたんでございますか人違いでございましょうが、私が山路に掛って来ると、後から大きな侍が追掛けて来まして、左様して私にねえ、汝は白島の山之助とか何とか云って、誠に久しく逢わなかったが汝の姉のおやまゆえに斯んな浪人に成ったから、汝の持ってる金を取って意趣返しをすると云うから、私は左様な者で無いと云いますと、突然脇差を抜いたから、一生懸命に逃げようと思って足を踏外して、此処へ落ちましてございます」
「それはお気の毒様、それじゃア私と間違えられたのだ、白島の山之助と云いましたか」
「はい」
「その男は何と云う奴で」
「あの柳田典藏とか云いました」
「それは大変、何うもお気の毒様、お前さんを私と間違えたのでございます」
「左様でございますか、私はそんな者でないと言いわけを云っても聞きませんで」
「そりゃア全く私の間違いです、お…前さん女でございますねえ」
「いゝえ」
「それでも今私が抱いて起した時に乳が大きくて、口の利き様も女に違いないと思います」
「左様でございますか、私は本当は女でございます」
「左様でしょう、それじゃア私はお前さんと間違えられたのだ、私が山道へ掛ると胡麻の灰が来て汝は女だろうと云うから、いえ私は女ではないと云うと、そんな事を云っても乳を見たから女に違いない、金を持ってるから出せなんと云って私の頬片を嘗めやアがったから、其奴の横面を打った処が、脇差を抜いたから、私は一生懸命に泥坊/\と云って逃げる途端に、足を踏外して此処へ落ちたんだ」
「おやまアお気の毒様」
「私の方がお気の毒様だ」
「お前さん何処へお出でなさるの」
「私は西国巡礼に」
「おや私も西国へ。よく似て居りますねえ」
「えゝよく似て居りますねえ」
「お前さん何方へお泊り」
「山道へ掛って様子は知らぬが、落合まで日の暮々はと思って急いで参りました、お前さんは何方へ」
「私も落合と思って、何うもよく似て居ますねえ」
「えゝ何うもよく似て居ますなア」
「あなた私を連れて行って下さいませんか」
「えゝ、一緒に参りましょう」
「それじゃア何卒」
「一生懸命に攫ってお出でなさい」
「何卒お連れなすって下さい」
「何か落すといけませんよ」
「はい柄杓も此処に有ります」
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