太宰治 『津軽』 「それぢや、その本覚寺に立寄つて、それから…

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青空文庫図書カード: 太宰治 『津軽』

現代語化

「じゃあ本覚寺に寄って、それからそのまま三厩まで歩いて行こう。」
「どうですか？」
「はい、三厩まで付き合います。」
「ありがたいな。この調子だと、町会議員が今夜三厩でカニタ町政について長々と演説するんじゃないかと思って、実は憂鬱だったんです。あなたが一緒にいてくれると心強い。奥さん、旦那さんを今夜貸してください。」
「かしこまりました。」

原文 (会話文抽出)

「それぢや、その本覚寺に立寄つて、それからまつすぐに三厩まで歩いて行つてしまはう。」
「どうです、あなたも。」
「はあ、三厩までお供させていただきます。」
「そいつあ有難い。この勢ひぢや、町会議員は今夜あたり、三厩の宿で蟹田町政に就いて長講一席やらかすんぢやないかと思つて、実は、憂鬱だつたんです。あなたが附合つてくれると、心強い。奥さん、御主人を今夜、お借りします。」
「はあ。」

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