横光利一 『旅愁』 「そういえば、世界の都会のうちで、一番愉し…

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青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』

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「そういえば、世界の都会の中で、一番楽しそうに笑顔で過ごしてるのは大阪じゃないかと思うんだけど、あそこはなんか特殊だよね。」
「モスクワはどうだった?」
「あそこのことは、なかなか喋りにくいよ。一度、モスクワの人たちはなんでいつも憂鬱な顔をしてるんだろって、何気なく話したんだけど、そしたら突然、横から、こいつかファシストだって怒鳴られたんだ。とにかく、あの長旅の間、笑ってる顔を見た覚えがないんだけど、あれは国民性かなんか他の原因があるのかな。その疑問だけは本当かも。」
「でも、そんな大事な疑問を、自分の国の人にも話せないってこと自体、みんながビクビク怯えて暮らしてるってことだよね。とにかく、もう起きることは起きてるよ。そして、救うものもどこかにあるはずだ。」
「笑顔の大阪か。救うのは。」

原文 (会話文抽出)

「そういえば、世界の都会のうちで、一番愉しそうににこにこして生活している所は、大阪だと僕は思ったが、あそこはまったく特殊国だね。」
「モスコーはどうだった。」
「あそこのことを話すのは、なかなか難しいですよ。僕は一度、モスコーの人間はどうしてあんなに憂鬱な顔をしているんだろうと、何んの気もなく話したことがあるんだが、そうしたところが、いきなり横から、こ奴はファッショだと、怒鳴られたことがあった。とにかく僕は、あの長いロシアの道中で、笑っている人間の顔を見た記憶がないのだけれども、あれは一つは国民性か、それとも他に原因があるのか今は疑問ですね。その疑問だけは本当なんだが。」
「しかし、そういう重大な疑問を、自国民にも話し得ないということは、そりゃ、世界の誰も彼もが戦戦兢兢として暮しているという証拠だね。とにかく、もう起るものは起っているよ。そして、救うものもこれでどこかに潜んでいるんだ。」
「にこにこしている大阪か。救うのは。」

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