森鴎外 『伊沢蘭軒』 「新禧弥御安祥御迎可被成遙賀仕候。晋帥病懶…

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青空文庫図書カード: 森鴎外 『伊沢蘭軒』

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「新年にご挨拶申し上げます。晋帥は相変わらず病気で寝てますが、ご心配なく。去年、下宮大夫さんが病気で寝た時は、上屋敷まで出向かれたそうで、お忙しい中、有り難いことです。そろそろ足も良くなっていくと思います。ただ、私のように年を取ってしまうと、また同じように倒れると思います。お察しください。」
「さて、津軽屋に頼んでおいた院之荘の古簾ですが、去年やっと手に入ったので、船便で送りました。ご確認をお願いします。後醍醐天皇が泊まったという私の家に、今はその簾をかけています。須磨などの行在所跡にかけられているのを見て、そこで備後三郎が詩を詠んだ場所と同じだとわかりました。岡山県津山市の近くにあるそうです。院之荘はその地名です。これは14年前に岡山県の人に頼んでおいたものです。何度も催促しましたが、なかなか手に入らなくて諦めていたんですが、去年の冬に突然届きました。岡山県から30里川を下って岡山に行き、そこから30里海を船で移動して児島を回るので遠回りで、笠岡という所に着いて、そこから3里歩いて私の家に届けられました。荷物は軽いんですが、大変な手間でした。お金は一切かかりませんでした。この手間は、あの10枚の菅菰の礼金だと思っていただければと思います。」
「さて、市野さんたちと相変わらず集まっているんだろうなと思います。梧堂さんはどうですか。元気ないみたいですね。他にご存知の方には、お伝えください。特に内政様(おさよどの)には、お祝いの言葉を申し上げてください。この手紙は長くなってしまいました。お身体ご自愛ください。1月21日。菅太中晋帥。伊沢辞安様。去年の詩画騒動の詩や手紙も拝見しました。番付はまだ見てません。あればお送りください。詩は笑わせていただきました。梧堂さんにも見せてあげてください。」
「追伸:卿雲には今回は手紙を書いていません。宜しくお伝えください。何度も問屋のようにお願いして、いわゆる口銭もありません。ご迷惑をおかけしますが。」
「下宮大夫臥病」

原文 (会話文抽出)

「新禧弥御安祥御迎可被成遙賀仕候。晋帥病懶依然御放念可被下候。去年下宮大夫臥病の節は御上屋敷迄も御出之由、忙程之事出来候へば大慶也。追々脚力も復し可申やと奉存候。只私がごとくよりによりたる年浪は立帰る期なし。御憐察可被下候。」
「扨津軽屋へ約束いたし候院之荘之古簾、旧冬やう/\と得候故、船廻しに而進候。御届可被下候。後醍醐帝御旅館某が家に、今簾をかけ候。これは須磨などに行在処の跡とてかけ候を見及たるや。即備後三郎が詩を題せし所也。作州津山四五里許有之所のよし、院之荘は其地名也。これは十四年前備前之人を頼置候。度々催促すれども得がたし/\と申而居候故、もはやくれぬ事かと思切ゐ申候処、去冬忽然と寄来候。作州より三十里川舟にて岡山へ参、夫より洋舟にて三十里、児島を廻る故遠し、笠岡てふ所へ参、そこより三里私宅へ参候へば、物は軽く候へども、世話は世話也。銭は一文もいらず候。此世話計をかの十符の菅菰之礼と被仰可被下候。」
「扨市野など不相替会合可有之遙想仕候。梧堂はいかが。杳然せうそこなし。其外存候人へ御致声宜奉願上候。別而御内政様おさよどのへ御祝詞奉願上候。此次状多したため腕疲候而やめ申候。春寒御自玉可被成候。恐惶謹言。正月廿一日。菅太中晋帥。伊沢辞安様。去年詩画騒動之詩、尺牘とも見申候。番付未参候、あらば御こし可被下候。詩御一笑可被下候。うつさせて梧堂へ御見せ可被下候。」
「尚々卿雲へこたび書状なし。宜御申可被下候。たび/\問屋のやう御頼、所謂口銭もなし。御面倒奉察候。」
「下宮大夫臥病」

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