森鴎外 『伊沢蘭軒』 「見れば心もすみ田川流に浮ぶ一葉の舟の昔は…

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青空文庫図書カード: 森鴎外 『伊沢蘭軒』

現代語化

「見れば心も晴れる、隅田川に浮かぶ一葉の舟の昔のようだな」
「このほかにいくつか曲があるそうだ。撫院は、歌詞の中に江戸の地名があることから江戸のお舟歌だろうと言われた。きっとそうだろう」
「赤馬関で海を渡ると、にわかに大雨が降ってきた。長州と九州は海を隔てて対峙している。太鼓を叩き、帆を揚げて鷁の頭岬を目指す。玄海は北に連なって幾千マイルも続き、東の宝珠島がぼんやりと浮かんでいる。風をまともに受けて大雨が降り出した。潮が低く垂れ込めた雲が暗く流れている。たとえ呉の国の波乗り名人でも、怒った水神には敵わないだろう。」
「28日、朝の4時に出発する。豊前と筑前の国境、および純素の城跡を通過して、海が入り込んでいる所がある。くきの浦という。2里31町で黒崎駅。植松屋三郎兵衛の家に休憩する。2里34町で木屋の瀬。三輪屋久兵衛の家に泊まる。この日は午後、風が吹いて小雨が降った。とても涼しい。行程は約6里」
「29日、朝の4時に出発する。能方川を渡り、岩はな堤、小竹堤を通る。見晴らしのよいところでは、連なる山々が城壁のように見え、南東にそびえている山がある。香春山という(“はら”と読む。また同じ国に原田という所があり、“はら”と読む。理由は不明)。一山みなツゲの木だけだそうだ。5里で飯塚駅。伊勢屋藤次郎の家に休憩する。この駅には天満宮と納祖八幡の祠がある。この日は祇園祭が行われていて、大きな幟が立っている。「神道ではまず祈ること、冥界では正直であることが根本である」

原文 (会話文抽出)

「見れば心もすみ田川流に浮ぶ一葉の舟の昔は」
「此外に数曲ありといへり、撫院の云、文中に東都の地名あれば東都御舟歌ならんと、定て然らん」
「赤馬渡海、海雨驟至。長州絶海是豊州。撃鼓揚帆進鷁頭。玄海北連千万里。宝珠東現一※洲。風迎驟雨瀟々至。潮浸低雲闇々流。縦得呉児能踏浪。駆来許怒水神不。」
「廿八日卯時発す。豊筑の界及純素の城墟を経て海の入る処あり。くきの浦といふ。二里卅一丁黒崎駅。植松屋三郎兵衛の家に休す。二里卅四丁木屋の瀬。三輪屋久兵衛の家に宿す。此日午後風ありて小雨降。大に涼し。行程六里許。」
「廿九日卯時発す。能方川を渡り岩はな堤を経て小竹堤を行く。望ところ連山垣墻のごとく東南に突兀たる山あり。香春山といふ。(春はらと訓又同国に原田といふ所あり、原をはると訓す、ゆゑ未詳。)一山みな黄楊のみといへり。五里飯塚駅。伊勢屋藤次郎の家に休す。此駅天満宮及納祖八幡の祠あり。此日祇園祭事ありて大幟をたつ。「神道以祈祷為先、冥加以正直為本」

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