宮本百合子 『播州平野』 「ちょいと、読んで」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『播州平野』

現代語化

「ちょっと、読んで」
「何かあったの？」
「おばちゃん。――どうする？」
「行かなきゃ。重吉さんは、きっと私がそうすると思うわ」
「でも――何てことでしょう！」
「じゃ、切符は僕が何とかするよ。ねえちゃん、すぐ準備して」
「ねえちゃんが歩いて行ったら大変だけど、僕は自転車だから何でもないよ」
「でも大丈夫かなあ？　1人で……何しろすごいよ、今の電車は……」
「私もそれが心配なのよ」
「仕方がないわ」
「ここでいくら心配しても、どうせ東京で乗り換えなきゃならないんだもの」
「夜行じゃない方が安全だよ、同じことにしても……」

原文 (会話文抽出)

「ちょいと、読んで」
「何かあったの？」
「おばちゃん。――どうなさる？」
「行かなけりゃ。重吉さんは、きっと私がそうすると思うだろうと思うわ」
「でも――何てことでしょう！」
「じゃ、切符は僕が何とか手配しましょう。姉さん、すぐ荷づくりなさいよ」
「姉さんが歩いて行っちゃひと仕事だが、僕は自転車だから何でもないよ」
「でも大丈夫かなあ？　一人で……何しろ凄いよ、今の汽車は……」
「私もそれが心配なのよ」
「仕方がないわ」
「ここでいくら苦心したって、又どうせ東京で乗換えなけりゃならないんだもの」
「夜行でない方が安全だよ、同じことにしても……」

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