宮本百合子 『道標』 「磯崎も気の毒ですわ」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「磯崎もかわいそうだよ」
「向こうのご両親がもう少し私たちのことを理解してくれれば、磯崎もだいぶ楽だと思うんだけど」
「生活費はちゃんと来てるんでしょ?」
「それはどうにか来てるけど……向こうの生活知らないから、どうしても若い2人がパリで好き勝手して暮らしてるとしか思ってないみたい」
「向こうのご両親は、私がお金使いすぎる女だって思ってるの。それが、悲しいの。子供も2人続けて出来ちゃったし――絵の具とかも毎年高くなってるのに、磯崎はどれくらい欲しい絵の具とか額縁を我慢して買えてないか分からないのに――そう思うと、なんだか申し訳なくて……」
「向こうのご両親に私が分かってないのも無理ないよ。私たち結婚してからたった1か月、磯崎の実家にいただけだもん」
「実家って――どこなんですか?」
「私は、最初から断ったのよ。せっかく誘ってくれても自信がなかったから――でも……」
「磯崎さんがどうしてもって言うんですか?」
「2人で行く方が、絵の勉強だって絶対いいってすごく強く言うから――私もあの頃は、絵だけはなんとか続けたいと思ってたし」

原文 (会話文抽出)

「磯崎も気の毒ですわ」
「あちらの御両親がもうすこし、わたしたちの生活を理解して下さると、磯崎もよっぽど楽なのでしょうけれど」
「生活費は来ているんでしょう?」
「それはどうにか来ていますけれど……こちらの生活を御存じないから、どうしても若いもの二人がパリですきなことをして暮しているとお思いになりがちですのね」
「あちらの御両親は、わたしがお金をつかいすぎる女だとお思いになっているんです。それが、せつないんですの。あいにく、子供が二人もつづけて生れてしまいましたし――絵の具なんかも一年一年と高くなって来ていますのよ、磯崎だってどの位買いたい絵の具や額ぶちのようなものを辛棒して買わずにすましているかしれないんですのに――それを思うと、何だかわるくて……」
「あちらの御両親に、わたしがおわかりになっていないのも無理はありませんわ。わたしたち結婚してたったひとつき、磯崎の田舎の家にいたきりなんですもの」
「田舎って――どこなんです?」
「わたしは、はじめっから御辞退しましたの。折角言って下さっても自信がないんですもの――でも……」
「磯崎さんがどうしてもって云うわけですか」
「二人で行く方が、絵の勉強だって必ずよくできるってあんまりつよく云うもんですから――わたしもあのころは、絵だけはやれるものなら続けたいと思っていたものですから」

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