宮本百合子 『道標』 「何の用なのかしら」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「何の用があるのかしら」
「あなたを呼べばいいのに」
「あなたなら、言葉もちゃんとわかるのに」
「僕は、いやだよ。ぶこちゃんがいいんだ。僕のたどたどしい正しいロシア語より、ぶこの一斉射撃の方が、結局役に立つんだろう。数の中から、必要な言葉を拾い出すコツさえわかれば、結構ぶこちゃんのロシア語は手っ取り早いんだ」
「とにかく行ってみよう。私にできないことだったら、はっきり、断るわ」
「そうさ、もちろん、それでいいさ」

原文 (会話文抽出)

「何の用なのかしら」
「あなたをよべばいいのに」
「あなたなら、言葉もちゃんとわかるんだのに」
「わたしは、いやだよ。ぶこちゃんがいいのさ。わたしのつっかえつっかえの正しいロシア語より、ぶこの一斉射撃の方が、結局役に立つんだろう。数の中から、必要な言葉をひろうこつさえわかれば、結構ぶこちゃんのロシア語がてっととりばやいんだ」
「ともかく行って見よう。わたしに出来ないことだったら、ちゃんと、ことわるわ」
「そうさ、もちろん、それでいいさ」

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