宮本百合子 『道標』 「やあ、初めておめにかかります」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「初めまして」
「ロシアの病院なんてたいしたことないと思って来たんだけど、意外にすごいな。――なかなかいいよ」
「ところで病気はどうなんです?どこが悪いのかわかんないんだけど、全然痩せてないじゃん。むしろツヤツヤしてるよ。顔色もいいし」
「あなたはいつこっちに来たの?」
「こっちでも何か仕事してるの?」
「それがね、面倒くさくてさ」
「ブラック・プリンスっていう船の名前、聞いたことあるでしょ?有名な船だから」
「――さあ、知らないけど」
「ブラック・プリンスっていうロシアの大きな船が黒海のあるポイントに沈んだままになってるはずなんです。今度こそそれを引き揚げようと思って来たんだけど、ぐだぐだ言われて全然話にならない」
「権利とか何かをもらうことになるんですか?」
「そうですよ。細かい契約が必要なんですよね。まず引き揚げに成功したら、その何パーセントかはこっちがもらうことになるし」
「そんなの、今ごろまでそのままなの?」

原文 (会話文抽出)

「やあ、初めておめにかかります」
「ロシアの病院なんてどんな有様かと実はばかにして来たんだが、案外なもんじゃないですか。――なかなかいい」
「ところで病気っていうのはどうなんです」
「どこがわるいのかしらないが、いっこうやつれていないじゃないですか。それどころか、艷々したもんだ。いい顔の色ですよ」
「あなたはいつこっちへいらしたんです」
「こっちにも、何かお仕事があるんですか」
「それがね、面倒くさくてね」
「あなた、ブラック・プリンスっていう船の名をきいたことがあるでしょう? 有名なもんだから」
「――さあ、知らないけれど」
「ブラック・プリンスっていうロシアの大きな船が黒海のある地点に沈んだままになっているはずなんです。こんどは一つそいつをあげて見ようと思ってね、それでやって来たんですが、四の五の云って、ちっともらちがあかない」
「権利か何かお貰いになるわけなんですか」
「そうですよ。なかなかこまかい契約がいるんでね。第一引上げに成功したら、その何パーセントかはこっちへとるということがあるし」
「それが今ごろまでそのまんまあるものかしら」

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