GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』
現代語化
「寒いね」
「それでも降らなかったから助かったよ」
「最近の日本の新聞、読んでる?」
「――最近のって言うけど、こっちに来るまで何日もかかるでしょ――何かニュースあるの?」
「日本の共産党事件――読んだ?」
「ああ、読んだ――すごいアバウトな記事だったね、何がなんだかわからなかった」
「――そう言えばそうだけど、吉見さんなんか、最初からこっちは逃げてきたわけじゃなかったの?」
「冗談にしろ、そんなこと迷惑だよ」
「秋山さんはどうなの?」
「あなたは、大丈夫なの?」
「今も塩尻に様子聞いてたところだけど」
「友達の中にも、やられちゃったのが結構いるみたいよ」
「――まだ誰も来ないのかな?」
原文 (会話文抽出)
「や、来られましたね」
「あいにく、寒いですね」
「それでも降らなかったから大助りですよ」
「あなたがた、最近の日本の新聞を御覧でしたか」
「――最近のって云ったところで、わたしたちのは、どうせ幾日もかかってシベリアをやって来るんですがね――何かニュースがあるんですか」
「日本の共産党事件――よまれましたか」
「ああ、よみました――ひどく漠然とした記事ですね、何が何だか分らなかった」
「――そう云えばそうだが、吉見さんなんか、あらかじめこっちへ逃避というわけじゃなかったんですか」
「冗談にしろ、そんなこと、迷惑ですよ」
「秋山さんこそ、どうなんです?」
「あなたは、大丈夫なんですか」
「今も塩尻君に様子をきいていたところですがね」
「友人のなかには、やられたものが相当あるらしい工合ですよ」
「――まだ誰も見えませんか?」