宮本百合子 『二つの庭』 「なるほどね、そういえば本当にそうだ」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『二つの庭』

現代語化

「マジか。そういえばそうだな」
「何よ?」
「浅原さんがさ、『ワーリャの目は、他の外人の目と違って、ずっと見つめててもなんか変にならない』って」
「変にならないって……」
「どういうこと?」
「青い目をジロジロ見てると、だんだんあの人が考えてることとか分からなくなってくるでしょ?溶けてくみたいに。でも、こないだ初めて会ったワーリャの目はなんか俺たちの目とあんま変わらない感じがして、だから分かった」
「マジ!そういえばドリス先生も、目ばっか見てるとわけわかんなくなっちゃう」
「フィリッポフのおっさんもそうよ」
「あれは、色のせいじゃない」
「あの人、人生そのものがそうなんじゃねえの」
「ごめんなさい」
「あ……」
「……一緒に行く?」
「いや、あの蕗子さんが上がってるハズ」
「遅かったのね」
「おお、そうか。じゃ被っちゃったのか。門でちょうど会ったんだけど……」
「竹村さん、ちょっと和室の方に行ってもらえる?」
「一応は心がけてるけど……」
「あなたも、やっぱり家があるほうがいいでしょ?」
「……生活に困ってるってことはないけど……」
「だっって、女房持ちの大人が、こんな不景気でこれだけ失業してるんだから。お金に困ってないお嬢さんが、無理してパートもらいにくることないでしょ」
「私も、そういう気がしてたんです……」

原文 (会話文抽出)

「なるほどね、そういえば本当にそうだ」
「なんなの?」
「浅原さんがね、ワーリャさんの眼は、ほかの外国人の眼とちがって、じっと見ていても変になって来ない、っていうのさ」
「変になって来るって……」
「どういう風に?」
「あんまり碧い眼を見ているうちに、段々その人が何を考えているのか分らないようになるでしょう? 溶けるみたいになって。でも、この間はじめてお目にかかったワーリャさんの眼は私たちの目とあまりちがわないみたいで、わけがわかったから」
「本当に! そういえば、ミス・ドリスだって、眼だけ見つめていたら、何がなんだかわからなくなって来るわ」
「フィリッポフさんの眼だって、そうだわ」
「あれゃ、色のせいじゃない」
「あの人は、人生そのものが、あんな風なのさ」
「ごめんなさい」
「やあ……」
「……御一緒?」
「いいえ。あの蕗子さんがあがっておりましょうか」
「おそかったのね」
「おお、おや。じゃあダブったんですね。門のところでおちあったんだけれど……」
「竹村さん、一寸八畳の方にあがっていてくれませんか」
「それゃ心がけておかないもんでもないけれど……」
「あんたも、やっぱり家はいいんでしょう?」
「……生活にこまることはございませんけれど……」
「なにしろ女房子のある大の男が、これだけ失業している時代なんですからね。お金に困らないお嬢さんが、わざわざ一人分の仕事を横どりしなくたって、いいんじゃないのかな」
「私、なんだかそんな気もしたもんですから……」

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