宮沢賢治 『饑餓陣営』 「いいか。果樹整枝法、その一、ピラミッド。…

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青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『饑餓陣営』

現代語化

「わかったか。果樹整枝法、その1、ピラミッド。1、よし。2、よし。1、2、1、2、1、やめる」
「次はベース。ベース、1の号令でこの形を作る。2で戻る。わかったか。1、2、1、2、1、2、1、2、やめる」
「次は果樹整枝法その3、カンデラーブル。ここでは2枝カンデラーブル、U字形を作る。この時は両肩と両腕でUの字になるのがコツだ。ただ単に直角にすることは、血液循環や樹液の流れからも必要ない。この形になるのがコツだ。わかったか。6番」
「わかりました。カンデラーブル、U字形であります」
「よし。果樹整枝法その3、カンデラーブル、始め。1、2、1、2、1、2、1、2、やめる」
「よし。果樹整枝法その4、またその1、水平コルドン。始め。1、2、1、2、1、2、1、2、1、やめる」
「次はそのまた2、直立コルドン。これはこれでいい。名前だけ使う。1、2、1、2、1、2、1、2、1、やめる」
「直立コルドンであります」
「よし。果樹整枝法、その4、またその2、直立コルドン、始め。1、2、1、2、1、2、1、2、1、やめる」
「次は、エーベンタール、扇状仕立、この形を作る。このエーベンタールのベースと違うのは、手と体が1つの平面にあることだ。わかったか。9番」
「はい。果樹整枝法その5、エーベンタールであります」
「よし。果樹整枝法、その5、エーベンタール、始め。1、2、1、2、1、2、1、やめる」
「次は果樹整枝法、その6、棚仕立、これは日本では梨やブドウの栽培の時に使われる。棚を作る。棚を。わかったか。10番」
「果樹整枝法第6、棚仕立であります」
「よし。果樹整枝法第6、棚仕立、始め。1」

原文 (会話文抽出)

「いいか。果樹整枝法、その一、ピラミッド。一、よろし。二、よろし、一、二、一、二、一、やめい。」
「いいか次はベース。ベース、一、の号令でこの形をつくる。二で直る。いいか。わかったか。五番。」
「はいっわかりました。ベース。盃状仕立であります。」
「よろしい。果樹整枝法その二、ベース一。」
「一、」
「二、一、二、一、二、一、二、やめい。」
「次は果樹整枝法その三、カンデラーブル。ここでは二枝カンデラーブル、Ｕ字形をつくる。この時には両肩と両腕とでＵの字になることが要領じゃ、徒にここが直角になることは血液循環の上からも又樹液運行の上からも必要としない。この形になることが要領じゃ。わかったか。六番」
「わかりました。カンデラーブル、Ｕ字形であります。」
「よろしい。果樹整枝法その三、カンデラーブル、はじめっ一、二、一、二、一、二、一、二、やめい。」
「よろしい。果樹整枝法その四、又その一、水平コルドン。はじめっ。一、二、一、二、一、二、一、二、一、やめい。」
「次はその又二、直立コルドン。これはこのままでよろしい。ただ呼称だけを用うる。一、二、一、二、よろしいか。八番。」
「直立コルドンであります。」
「よろしい。果樹整枝法、その四、又その二、直立コルドン、はじめっ、一、二、一、二、一、二、一、二、一、やめい。」
「次は、エーベンタール、扇状仕立、この形をつくる。このエーベンタールのベースとちがう所は手とからだとが一平面内にあることにある。よろしいか。九番。」
「はいっ。果樹整枝法その五、エーベンタールであります。」
「よろしい。果樹整枝法、その五、エーベンタール、はじめっ、一、二、一、二、一、二、一、やめい。」
「次は果樹整枝法、その六、棚仕立、これは日本に於て梨葡萄等の栽培に際して行われるじゃ。棚をつくる。棚を。わかったか。十番。」
「果樹整枝法第六、棚仕立であります。」
「よろしい。果樹整枝法第六棚仕立、はじめっ。一」

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