林不忘 『丹下左膳』 「農工商のうえだと申しても、武士もこうなっ…

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青空文庫図書カード: 林不忘 『丹下左膳』

現代語化

「農工商なんて偉そうに言っても、武士もこうなったらダメだ」
「おいおい、気が狂ったやつ、行列の中に入り込むなよ。邪魔だ」
「これでも、刀を二本差してるんだから、笑えるよ」
「ワハハハハ、竹を二本差してるんなら、まず目刺しだろ」
「気が狂ったやつが女なら、桜の枝とか持ってて、芝居とかでよく見るけど、武士の気が狂ったやつは色気もないな」
「これでも昔は、どっかの藩に仕官してたこともあったんだろうに……かわいそうに」

原文 (会話文抽出)

「農工商のうえだと申しても、武士もこうなっては形なしだ」
「オイオイ、気ふれ殿、行列の中へまいこんでは、邪魔になって歩けぬではないか」
「これでも、刀を二本さしているから、お笑い草じゃテ」
「ワッハッハッハ、竹を二本さしているなら、まず目刺しじゃろうな」
「気狂いも女なら、桜の枝か何か持って、ソレ、芝居にもよく出るやつだが、武士の気狂いでは色気もござらぬ」
「これでも昔は、いずれかの藩に仕官したこともあるであろうに……かわいそうに」

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