芥川龍之介 『素戔嗚尊』 「そりゃどっちでも好いさ。どっちでも好いが…

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青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『素戔嗚尊』

現代語化

「それはどっちでもいいよ。どっちでもいいけど、その人へ渡すものだったら、そこは君の働き1つで、ほかの勾玉を持って行っても、たいした差し支えはないだろう」
「もちろん多少は面倒が起こるかもしれないよ。でもそのくらいのことならあっても、刀とか、玉とか、鎧とか、あるいはまた馬1頭とか、君の手に入った方が――」
「だけどですね、もし相手が受け取らないって言ったら、私はこの玉をスサノオノミコトへ返さなきゃならないんですよ」
「受け取らないって言ったら？」
「もし相手が女だったら、そりゃスサノオの玉なんて受け取らないよ。その上こんな琅<img gaiji="gaiji" src="../../../gaiji/1-87/1-87-83.png" alt="※(「王へん＋干」

原文 (会話文抽出)

「そりゃどっちでも好いさ。どっちでも好いが、その人へ渡す品だったら、そこは君の働き一つで、ほかの勾玉を持って行っても、大した差支はなさそうじゃないか。」
「勿論多少は面倒が起るかも知れないさ。しかしそのくらいな事はあっても、刀なり、玉なり、鎧なり、乃至はまた馬の一匹なり、君の手にはいった方が――」
「ですがね、もし先方が受け取らないと云ったら、私はこの玉を素戔嗚尊へ返さなければならないのですよ。」
「受け取らないと云ったら？」
「もし先方が女だったら、そりゃ素戔嗚の玉なぞは受け取らないね。その上こんな琅<img gaiji="gaiji" src="../../../gaiji/1-87/1-87-83.png" alt="※(「王へん＋干」

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