海野十三 『蠅男』 「さあ、まさかあれから大の男が入ってこられ…

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青空文庫図書カード: 海野十三 『蠅男』

現代語化

「さあ、まさかあれから大の男が入ってこられるとは思わないが、――」
「そうですね、あの格子の隙間から入ってくるものって言うと、まあネズミか蚊か――それからハエぐらいなもんじゃないでしょうか」
「なに、ハエが入ってくる。ブルブルブル。ハエは嫌だ。何かいいから、あの空気孔に下からフタをしてくれ」
「下からフタをするんで……」
「できないのか?」
「いえ、まだできないと言ってるんじゃないです。今考えています。うーんと、――」

原文 (会話文抽出)

「さあ、まさかあれから大の男が入ってこられへんと思うが、――」
「さようですナ、あの格子の隙から入ってくるものやったら、まあ鼠か蚊か――それから蠅ぐらいなものだっしゃろナ」
「なに、蠅が入ってくる。ブルブルブル。蠅は鬼門や。なんでもええ、あの空気孔に下から蓋をはめてくれ」
「下から蓋をはめますんで……」
「出来んちゅうのか」
「いえ、まだ出来んいうとりまへん。いま考えます。ええ、こうっと、――」

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